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2009年にIFRSの任意適用が認められ、2011年に金融担当大臣により強制適用が見送られた中、IFRSの導入ロードマップは未だ曖昧な所で停滞していますが、IFRS導入をする企業様は徐々に増えつつあります。
一方で、筆者の個人的体験として、IFRSの会計基準ベースと、それを実務に落とし込む「見解」
をソーシングするコンサル担当者が少ないと考えています。IFRSの基準上の理解(うんちく)はわかるけれども、それをどう実務に落とし込むのか?説明していきたいと思います。

当該IFRS実務シリーズでは、IFRS上の非常に「理論的な基準」をどう「実務に落とし込んでいくか?」について重点を置いて説明していきます。(なお、当該執筆はわかりやすさを重視するため、筆者の個人的見解が入っていることをご了承下さい。)

前置きが長くなりましたが、第1回目はIFRS上の「減損」 について説明していきます。

(1)CGUの設定について
あまり褒められたことではありませんが、黒字企業であることをいいことに、日本基準上、CGU(資金生成単位)の設定を曖昧にしており、IFRS導入にあたってのれん評価のための減損判定に困ってしまう、ということもあるのではないでしょうか。ここではIFRSの減損について、日本基準から移行の差異のポイントについて説明致します。
減損のファーストステップとも言えるCGUの設定ですが、実務のケースは、法人毎であったり、支店ベースであったり、予算や実績のPL情報の集計単位を設定している会社様が多いのではないでしょうか。なぜならCGUを設定すると、後述する時価評価とセットで考えなくてはいけないからです。時価評価を求めるには、通常将来キャッシュフローが集計できないと実務上、その算定が困難なため、どうしても将来キャッシュフローが見込める単位でCGUを歩み寄って設定していくことになっていく傾向にあります。
(ここで、もともとCGUは資金生成単位として、個別資産単位の設定も「活発な市場の存在」(上場株式のようなイメージです)がある場合には、個別資産の単位をCGUとして設定する必要がありますが、減損の資産対象としてこのような市場があるケースはそれほどありません。)

ここで、便宜的に、法人毎の予算管理が出来ているということで、ここでCGUを設定したとしましょう。通常、法人毎であれば事業管理部(FP&A)が、予算ベースでPL数値、BS数値を管理しているはずです。PL、BSから減価償却費や運転資本増減を加味して簡便的にCF見込をつくることが出来ます。(なお、キャッシュベースで予算管理されている会社様であればそもそもそれを利用することが出来ます)その設定まで落ち着けば、CGUの時価評価単位が見えてくるでしょう。

なお、実務上はできるだけCGUを大きく解したい会社側と、CGUを基準にのっとってなるべく小さく解したい監査法人側に別れる傾向があると思います。会社側としては、CGUを大きい単位で解すると、赤字エリアと黒字エリアを相殺した上で判定できるので、仮に減損がはいるとしても、大きく解した方が減損金額が小さくなるというからくりです。実務上も大きく解したほうが時価評価を実施する手間も減り、運用が楽だという点あるでしょう。一方で、監査法人側はこのような減損回避を防ぐために、保守的にCGUをなるべく小さくしたいというニーズがあります。CGUの設定については監査法人との交渉になります。

なお、一点変わったところで、日本基準の有名な論点で、資産が遊休すると、それを独立させて減損判定する、という基準がありますが、(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 参照)IFRSではこのような定めはありません。厳密には、遊休資産が発生すると、日本基準上は減損、IFRSでは減損しない、といった話が起きうることになり、これが生じた場合には固定資産を管理する上で若干煩雑となりえます。実務上は管理コストをなるべく下げた形でIFRS導入を踏まえたいですね。

次回は設定した減損単位について、どのように時価評価をしていくか考えていきます。

 


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