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資本政策とは、事業遂行に必要とされる資金調達のための施策・戦略のことを言います。

事業を急速に展開するベンチャー企業では、事業の成長を促進するために、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルといった他人資本からの資金調達を行うことがあります。

ただし、他人資本から資金調達を行うことは、経営者の株式比率を希薄化させ、他人から事業運営の関与、情報開示等の制約を受けることにもなります。
このため、資金調達と同時に他人資本(株主)の比率管理とも言える「資本政策」が重要になるのです。

実務的には「資本政策表」を作成・管理し、資本政策を行います。

「資本政策表」とは:
他人資本から出資を受ける際に、各株主の株式数と株価、時価総額等の推移をそれぞれの時系列で記載した表を作成し、資金調達と経営者(社長、オーナー)保有の株式の希薄化の推移、他人資本の増加分を一覧にしておきます。

資本政策は、この資本政策表を作成・管理しながら、株式上場までの資金調達のプロセスをプランニングし、株主の構成比率の実績と計画の見通しを示していきます。

「資本政策は後戻りができないため慎重に準備をする必要がある」というのは、よく耳にする言葉であろうかと思います。

では、具体的にどういった点に留意して資本政策を進めていけばよいのかは迷うところではないでしょうか?
なんとなく、他社の資本構成比率を参考に比較しながら資金調達を行っている、という企業が多いのではないでしょうか。

この記事では、具体的にどういった点に留意して資本政策を行うべきか、解説していきたいと思います。


まず、資本政策で考えるべき項目として、以下4つの項目が考えられます。

事業計画との整合性

資本政策は事業のためのファイナンスの推移であるため、
事業計画と密接に関わりがあり、資金が必要となるタイミングや調達を行うタイミングを見極め、計画に応じたファイナンスを行うことが必要となります。
これが「1.事業計画との整合性」です。

インセンティブ

2つ目は役員や従業員等の関係者に対する「2.インセンティブ」です。

ベンチャー企業では、役員や従業員等に株式やストックオプションを付与するケースが多いですが、
付与する量やタイミングにより、彼らが獲得するキャピタルゲインも変動します。

また、付与に従い、経営者や既存の外部株主の株式保有比率も減少します。

このように、インセンティブプランを検討する際に、各関係者に想定するキャピタルゲインと、経営者や既存の外部株主の持分比率のバランスを考慮して、資本政策を検討していくことになります。

組織運営の効率性

企業の資金調達、そして資本政策は経営者が保有する株式を徐々に希薄化させていくプロセスと言い換えることもできます。
株式を配れば配るほど企業の(株主総会を通じた)経営参画者が増えることになり、経営の意思決定プロセスも複雑なものとなっていきます。
このため、資本政策を通じて、どの程度を経営者の株式比率として維持するのか、どの程度を外部株主に配るのか、企業の状況やステージと照らし合わせながら資本政策を考えていくことになります。

税金の影響

4つ目はファイナンスにおける「税金の影響」です。

企業はファイナンスを通じて規模を拡大し、伴って、経営者が保有する株式価値も増大します。
この際、企業の規模が大きくなれば、税務的な取り扱いも変わる可能性があり、また、株式価値が上がれば、経営者が保有する株式から税金の問題が生じる可能性があります。

このため、ファイナンスを行う際には税務上の取り扱いを事前に検討しておくことが必要となり、資本政策時の検討項目となります。


以上、資本政策の留意点として上記の4点を挙げましたが、実際には全ての要素がそれぞれ絡み合っており、トレードオフの関係にあります。
このため、資本政策は決まったベストな形式があるというものではなく、それぞれのバランスを比較勘案しながら、各社が最適解を探っていく形になります。


■ 資本政策の検討事項 1~4

次回、上記4つの項目について深堀りし、資本政策をどう考えていくべきか検討していきます。各社が最適な資本構成を考える際の参考になれば幸いです。