
アイ・アドバイザリー株式会社・会計事務所の渋木です。
最近のAIの発達は目覚ましいものがあり、今こうしてまばたきをしている瞬間にも彼らは賢くなっているのだろうと思うほど。AIで「何でもできそう」だからこそ、どこから手を付けていいのかわからない…という方は意外と多いのではないでしょうか。実際、私も「自動化」という壮大な響きに構えてしまい、業務での使いどころを模索していました。
ただ、最近は少しずつ付き合い方が分かってきました。
いきなり全自動化を目指すのではなく「頻度が多く、日々地味に時間を割かれているもの(ルーチン)を少しずつ便利にしていく」ことが近道なのではないかということです。
弊所では、顧問先との資料共有は主にGoogleドライブを使用しています。ここには3つの「めんどくさい」がありました。
① 顧問先がいつ資料をアップロードしたか分からず、何度もフォルダを見に行ってしまう(急ぎの資料の場合は、特に「めんどくさい」です)
② 資料にファイル名が付与されておらず(img001.pngなど)、1件ずつ開いて内容確認し、リネームする
③ 請求書や領収書のデータをもとに、会計ソフト用に手入力で仕訳入力

いずれも、塵は積もれば…で、地味に手間のかかる作業です。AI活用で経理自動化!と大風呂敷を広げる前に、まずはこの①~③の「めんどくさい」を解決しよう………そう思い、Google Apps Script(GAS)で自動化スクリプトを自作してみました。
前提として、私はGASは簡単なスクリプトを2、3作ったことがある程度で、ほぼ初心者です。詳細なスクリプトやトライ&エラーはすべてGeminiに相談して修正していきました。
今回構築したのは、以下の3つのスクリプトです。「こういうの作りたい」とGeminiに相談すれば、おそらく同じようなものが作れます。ただ、細かいエラーはやはり出てしまうもの。私が今回直面したエラー事例も交えてご紹介していきます。
顧問先がGoogleドライブの共有フォルダ(下層のサブフォルダ含む)に新しい資料をアップロードすると、1時間以内に弊所のメールアドレスに通知が届く仕組みを作りました。「どのフォルダに」「何のファイルが」追加されたか一目でわかるため、資料を探す手間、チェックする手間が無くなりました。

▲アップロードされたファイル本体のURLと親フォルダのURL、どちらも通知してもらうことで場所が明確に分かるようにしています。
特定のフォルダに入った請求書・領収書(PDFや画像データ)をAIが読み取り、「日付(YYYYMMDD)_取引先名_金額.拡張子」というルールに沿って自動でファイル名を変更してくれます。画像データを開き内容を確認する手間とファイル名を手入力でリネームする手間を削減できるだけでなく、フォルダを検索する際の見つかりやすさ(アクセシビリティ)もアップします。

②のファイル名リネームと同時に、AIが請求書・領収書の内容から「勘定科目(消耗品費や広告宣伝費など)」や「税区分」を推測し、会計ソフト(マネーフォワード等)にそのままインポートできる形式で、Googleスプレッドシートに自動追記してくれます。
上記の①~③を組み合わせると、「顧問先がスマホで撮った領収書を指定のフォルダに入れるだけで、通知が届き、ファイル名が付与され、仕訳入力まで自動でしてくれる」という、ちょっとした経理アシスタントが完成したのです。
…と、完成した姿だけ見るとスマートなのですが、もちろんエラーとの戦いも(多数)ありました。以下に戦いの記録をしたためますので、この記事を読んでくださった皆さんの参考になりますように。
Geminiにスクリプトを書いてもらい、GeminiのAPIキーも取得し、いざプログラムを実行…した瞬間に立ちはだかったのが、「404 Not Found(見つかりません)」というエラーメッセージでした。コードの書き間違いやAPIキーのコピーミスを何度も疑い数十往復しましたが…原因はまったく別のところにありました。
「Geminiのモデル違い」です。
何のことかと言うと、Geminiが指定していたAIモデルのバージョン(Gemini 1.5)が古く、実際の環境では既に使われていなかったのです。指定をGemini 2.5に書き直した瞬間、これまでの試行錯誤が嘘だったかのようにスムーズに動き出しました。この原因究明の時間が最も長かったです。これ以上の敵(エラー)にはまだ遭遇していません。

▲「404 Not Found」がどうしても消えないときは、上記のように使用可能なGeminiのモデル確認をおすすめします…原因は意外と身近なところにあるものですね……
Googleが開発した「.webp」やiPhoneで撮影した写真データの「.heic」という拡張子、ここ数年で見かけることが多くなった気がします。ところがこの拡張子たち、GoogleドライブのOCR(文字認識)とは相性が悪く、読み取りエラーになってしまいました。
最終的には、GASの中で「.heicの場合は一度サムネイル画像(.jpeg)に変換してから文字の読み取りに回す」という処理を挟むことで解決しました。
※詳細なスクリプトはGeminiに聞いてもらえれば、すぐに解決します。
請求書・領収書を読み取らせると、ファイル名が「20260325_アイ・アドバイザリー_10000.pdf」のように自社名を付してしまうことが多発しました。宛名として多く登場する弊所名(アイ・アドバイザリーや代表者の名前)を「請求書・領収書の発行元(取引先やお店)」だと勘違いしてしまいがちです。
これは、AIへの指示文(プロンプト)に「『アイ・アドバイザリー』は宛名だから絶対に除外し、発行元の社名を探してください!」と強めのルールを追加することで、劇的に賢くなりました。
…上記はあくまで「主な」エラーであり、実際にはまだまだあり、①~③すべてを完成するには3営業日分ほど要しました。また、仕訳の起票については顧問先ごとの仕訳ルールをAIに指示する必要があり、まだまだ改善の余地もあります。
しかしながら、この3つを実装したことで「あれもこれも自動化できるかも?」という想像がどんどん広がっていきました。経理領域は自動化と相性が良く、間近に迫るシンギュラリティの足音に恐れおののきつつも、純粋に「自動化できた!」という興奮も同居する昨今です。
今回はGAS×Geminiでしたが、Claude Codeなど他AIツール・エージェントを用いた便利な自動化ツールが開発できたら、また当ブログで掲載させていただきます。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました!